父親と遊んだこと。(チェック済)

私は父親と遊んだ記憶があまりない。父親はタオル工場を経営していて、いつも仕事をしていた。日曜日はタオル織機は休ませていたが、機械の修理などをしていて、工場にいる時間が長かった。
そのため夏休みに海水浴など家族で遊びに行ったことはあったと思うが、その記憶もあまりなく、父と二人で遊んだ記憶はまったくない。
一度、弟と一緒に三人で山の中に入り、カブトムシ採りにいったことを覚えている。私は小学生だった。
その時、大きなクワガタを一匹つかまえた。うれしくて、そのクワガタを触っていたのだろうと思う。なんと、指をハサミで挟まれたのだ。とても痛がったことを覚えている。そして、自分では片手になってしまうので、ハサミをとることはできない。それを父親にとってもらったことをなんとなく覚えている。
あの時、父親は楽しく遊んでいたのだろうか。
私の父親と比べると、私は息子とはよく遊んだと思っている。息子はどう思っているかは分からないが。二人でキャッチボールをしたこともあるし、学校は自宅から近くにあり、年末年始の休みになると二人で学校へ忍び込んで誰もいないグラウンドで野球をしたこともある。
釣りにも何度か行った。楽しい思い出だ。
その中で、二人で海水浴へ行ったことがあった。この時が私は一番楽しく息子と遊んだ思い出になっている。確か、その時は釣りへ出かけたのだが、まったく釣れる気配がなく飽きてきたので、海水浴へ行こうとなった。そのため、海水パンツははいていたのだが、浮き輪を持っていなかった。
その時、息子は小学生でまだ十分には泳げない。足がつかないところでは怖がる。なので、私にしがみついてくる。そのようにして遊んでいると、私も子供の頃に戻ったような気分になっていた。なので、父親として息子と遊んでいるのではなく、私も息子と同じ子供になって、子供同士の感覚で息子と遊んでいるような気分になっていた。
これがとても楽しかったのだ。その時も思ったのだが、そのような感覚を味わせてくれた息子に感謝している。大人になってからも昔から仲の良い友達と遊ぶのは楽しい。しかし、それはやはり大人同士の遊びである。
それとは全然違った楽しさが、その時に感じた。本当に子どもの頃に戻って、遊びにだけ集中して、遊んでいたように思う。
さて、私は父親とはそのようにして遊んだ記憶はない。父親が私と一緒にいて、このような感覚を味わったことがあるのかどうかは分からない。
あの時、私がクワガタに指を挟まれたときの記憶が、父親にとっても楽しい思い出として残っていれば嬉しいのだが。

