注文住宅会社が規格住宅導入で注意したいこと

私はコンサルティング活動でほぼ毎日全国の住宅不動産会社を訪ねています。このような活動を毎日していますと、多くの工務店経営者にお伝えをしたいことが次から次へとでてきます。このコラムでは様々な情報をお伝えしたいのですが、紙面の関係で毎回テーマをしぼって書いています。今回は最近話題にあがることが増えた「規格住宅」について私なりの考えをお伝えします。
今日本経済は不況だと言われますがこれは決して悪いことばかりではありません。事実、不況下に伸びる会社や飛躍的に売上を伸ばす商品が登場することがあります。特に、「好況期に登場し伸びた新グレードの商品が、不況期に安く売ると必ず売れる。」ということがあります。例えばホンダが発売した新ハイブリッド車“インサイト”の売上が好調だという発表がありましたが、これなどはトヨタが好況期にプリウスを伸ばしていたことが背景にあると考えられるのです。
そして今、工務店業界でも低価格化をはかった「規格住宅」がちょっとしたブームになっているように思います。業界新聞を見ていてもそういった記事が明らかに増えています。また、フランチャイズやノウハウ提供をする会社も増えています。しかしながら、私はこれはよほど注意して取り組まないと失敗をするか、現状の業績をダウンさせることにもなりかねないと危惧しております。
このコラムでも何度か紹介をしてきましたが、低価格化競争から脱却し、高価格化への価値競争に取り組んだおかげで業績を飛躍的に伸ばした地域一番の住宅会社は、いわゆる規格住宅が業績不振の原因だったのです。規格住宅をやめたことが業績アップのきっかけとなったのです。もちろん当時と今の景況感の違いはありますが規格住宅に取り組むことでリスクがあることをまず承知していただきたいと思います。
注文住宅を専門にやってきた工務店や住宅会社が規格住宅を取り組む際に考えられるリスクは以下の3点です。規格住宅導入の際は、この3点のリスクヘッジを同時に考えておかないと、私は100%失敗すると考えています。その事業が失敗するだけならまだしも、現状の業績を落としてしまう可能性もあります。
①受注平均単価ダウンのリスク
②粗利率ダウンのリスク
③受注棟数のダウン
現在の主力商品を提供しているだけでは、最近のお客の年収低下傾向に対応ができないと考え安易に導入をしてはいけないということです。そのような導入をすると先にあげた3つのリスクをまともにうけることになるでしょう。
私はこれまでにそういった会社を多く見てきました。
一方で、私がお付き合いをしている注文住宅会社では、最近、規格住宅を立ち上げる会社が増えています。そういった会社では、今の不況期をチャンスととらえ、既存の主力事業を補完するような位置づけではなく、新事業を立ち上げるスタンスで取り組んでいます。実は、これが成功の秘訣です。
くれぐれも安易な規格住宅の導入はやめてください。それなら主力の注文住宅に新たな価値を付加することを考えるのが今業績を伸ばす必要なことかもしれないのです。そして一方で、今規格住宅にはチャンスがあることも事実です。私が見る限り、日本の住宅市場で“伸びる規格住宅のポジショニング”はまだあります。伸びる余地がある面白い市場でもあるのです。

