営工一貫の功罪。

営業と現場の施工管理を一貫して一人の社員が担当することを営工一貫という。
新築戸建ての注文住宅会社や戸建てリノベーションや増改築など大型リフォームを展開する会社の中には、営工一貫をとる会社もある。また、水廻りや修理修繕など比較的金額が低いリフォーム工事を中心にする会社では、営工一貫をとる会社が多い。
水廻りリフォームや修理修繕リフォームの施工管理は、新人や未経験で始めた営業でも短期間でできるようになるからだ。しかし、注文戸建てや戸建てリノベーションとなると業務量も多く、高い知識や豊富な経験も求められるようになり、営業と兼務ができるようになるには多くの時間を必要とする。
ただ、それを承知の上で、営業には施工管理もさせる会社もある。現場での経験や知識がある方が、営業としての対応力が身に付き、結果、営業力も髙まると考えるからだ。
しかし、そのような考えは持たずに、営業と施工管理を分業制として、それぞれ専任化させる会社もある。その方が、組織としての生産性が高まり、短期間で組織を大きくできると考えるからだ。会社を大きく成長させたいと考える会社では分業制をとるところが多い。
どちらも正しい。それぞれにメリットもあれば、デメリットもある。
営工一貫性のデメリットは、社員一人当たりの売上が伸びないことと成長に時間がかかることである。施工管理もしながらの営業活動は、営業に使える時間に限りがある。また、受注が増えて、施工管理の業務が忙しくなると営業活動ができなくなり受注が減る。受注ペースに波ができるのもデメリットである。
分業制のデメリットは、営業しかできない人材、施工管理しかできない人材が育つことである。また、両者間でのセクショナリズムも起きてしまうかもしれない。
このようにどちらにもメリットもあればデメリットもあるのだが、肝心なのは、自社の経営戦略や成長性に合っているかどうかである。
仮に、会社の売上を短期間で伸ばしたいと考え、成長戦略を描いているにも関わらず、営工一貫性をとるのは、目標や戦略と合っていない。それであれば、分業制をとるべきである。
一方で成長志向はなく、地元で確実な利益を上げながら安定的な経営を志向するのであれば、営工一貫性として他にはいない人材を育成するのが合っている。分業制とすれば他の会社の人材と同じように感じられ、大きな会社には人材で勝てなくなる。
このように営工一貫をとるべきかどうかは、会社の戦略と照らし合わせて考えるべきことである。
それを考慮せずに、営工一貫性の方が対応力がある人が育てられるという正論で進めると、目標を達成できない状態がいつまでも続いてしまうことになる。
営工一貫も分業制もどちらも正しいのだから。
大事なのは自社の成長志向や戦略と合っているかどうかである。また、同じ会社でも成長ステージによって変わるし、戦略や目標も変わることがある。
それにも関わらず、これまでのやり方を踏襲するのは間違っている。
正論は自社が置かれた状況で変わることを押さえておきたい。

