中小企業が事業を専門化するリスク。

事業はそのライフサイクルに応じて形態を変えなければいけない。例えば、百貨店を考えてみる。大都市圏の百貨店はまだいいが、地方百貨店の苦境は以前から言われている。倒産する地方百貨店が多い。ところが、業態転換をすると、繁盛店へ生まれ変わる例はある。鹿児島のマルヤガーデンズや大阪梅田のルクアなど。大阪梅田のルクアは、元三越伊勢丹だった。開業後から不振で数年で撤退をした。
これはもうこれまでのような百貨店業態ではお客を集められないことを表している。その理由こそが、ライフサイクルの進化である。これは細かく分析することもできるが、大きくは2つのことが言える。供給不足から供給過多への変化である。
つまり、競合他社が増え、供給量が需要量を上回ると、専門化をさせていかなければ魅力がないお店へとなってしまう。百貨店のような総合型は供給不足時代には向くが、供給過多時代になると魅力がなくなる。一方で、ヨドバシカメラ、ユニクロといった専門業態が幅を利かせるようになる。
競争が激しく、また人口減少で需要が減る飲食業界もまさにそう。今ではファミリーレストランという業態では通用しない。私が子供のころのファミレスと言えば、ちょっとした贅沢感があったが今は日常品となっている。そして、日常品となると回転すしなど他にも競合が登場し、ファミレスという何でもあるような業態は魅力が感じられなくなる。
実際に今は、すかいらーくというお店はもうない。その代わりに、ガストやバーミャンに変わっている。これは同じ会社である。
以上のように、ライフサイクルの進化に合わせて、業態は総合型から専門型へと変えていかなければいけない。
私のコンサルテイング先である地方の住宅会社や住宅リフォーム会社、不動産会社でも同様である。そのために、増改築事業でも総合型住宅リフォーム事業のなかで取り組むのではなく、増改築の専門店として取り組むようにしていただいている。
ただし、この専門化にはリスクがある。専門化が進む方向はさらなる専門化である。プロフェッショナル化であり、熟達度を上げていくことである。人材を専門化させていくことである。
そうやって他社とは差別化を図っていくのが専門化の進む方向である。ところが、今回のコロナ禍でもそうだが、大きな経済ショックや天災などで事業環境が大きく変わってしまい、その事業が立ち行かなくなると、専門化として進めてきた事業や人材が他への替えが効かなくなっているとリスクになる。
会社としては専門事業をいくつか抱えて、ひとつの事業が危なくなっても、他の事業でカバーできるように見えるが、それは他の事業や新しい事業への人材の移動ができて初めて可能となる。
その移動に抵抗をされると、あるいはモチベーションが低い状態で働かれると業績は伸びない。
こういったことを考えた時のリスクヘッジとしては、専門事業の枠を超えた全社的なビジョンや価値観の共有に取り組んでおくことである。それぞれの専門化した事業が好調なときに、そういったリスクも想定してこのようなことに取り組んでおく。そういう企業は本当に強い組織となり、大きな経済ショックや天災も柔軟に変化し、事業を伸ばすチャンスとしていく。しなやかで、たくましい。

