ビジネスが成長を始めるのはシンプルになった時。

業績を伸ばす会社やお店のビジネスはシンプルなものが多い。
私が考えるシンプルさとは、「誰に、何を、どう売るか?」が分かりやすく、一貫性があるというもの。これが不明瞭だったり、分かりづらいビジネスは上手くいかない。
例えば、「誰に」であるターゲットが不明確だったり、「何を」の商品に他にはない特徴がなかったり、どう売るかが複雑化しているようなビジネスは上手くいかない。
さて、日本の住宅問題で大きく取り上げられるようになっている「空き家」。今では850万戸を超え、7~8軒に1軒が空き家となっている。住む人も現れず、持ち主が不明なため解体もしない。解体には費用がかかるため役所もできない。
そして、その空き家のなかには、長く住み継がれてきた「古民家」と呼ばれる建物がある。そのような建物は古いとは言え、まだまだ再生できるものが多い。少なくなっていると言われる大工技術の継承にもなる。
そこで、古民家再生の建築技術をもつ大工さんや住宅会社・工務店がビジネスにしようと取り組む。一方で、「空き家バンク」のような不動産機能をもった不動産会社もビジネスとして取り組む。
しかし、現状、私が見る限り上手くいっていない。地方の田舎に建つ空き家となった古民家は建物を再生すれば価値は蘇るとは言え、不動産として見ると土地も建物も価値はないとみられる。なので、買い手が現れない。
建物の再生だけをしたくても、持ち主がいないためにその発注がされない。そこで、田舎に建つ古民家を他の場所へ移築しようとするが、ここで問題になるのが現行法の建築基準法。古民家は伝統工法のために現行法に照らし合わせると法律違反になる。しかし、現行法で建てられた家よりも強いことは築年数で証明がされているのだが。
このように空き家となった古民家には複雑な問題がある。これをビジネスにするのは社会問題の解決や日本の住文化を守ることにもなるため意義はあるが、こういったことが解決されない限り、ビジネスとしての成立が見えない。
古民家の技術と建物を継承するということに価値をおくビジネスであれば、すでに空き家となってしまった建物ではなく、今も住んでいる古民家を再生することを事業にした方が良い。その事業のなかで移築なども手掛ければ良い。主力は人が住む古民家の再生、そのなかで古民家の移築を行う。
空き家となった古民家を再生させるために移築が可能となるために役所も変わり、その仕組みづくりとして社団法人も新たに生まれている。
しかし、社会貢献活動としては意義があるのだが、ビジネスとして見ると複雑化しすぎている。安定した収益を上げていくためには超えななければいけないハードルが多い。
事業として、やりたいことがあったときに、それがシンプル化できるかどうか。いかにシンプル化するか。そういうことが大事なのだが、想いが強いと掘り下げることばかりを進め、逆に複雑化させてしまう。
社会問題を解決する事業の収益性を高めるのは、いかにシンプル化ができるかどうかにかかっている。

