親が知らないところで、子供は育つ。

中学三年生の息子は中学野球部に所属をしていて、早いもので引退試合が行われた。
息子は小さいときから本当に野球が大好きで、小学一年生の時に地元の少年野球チームに所属してからは、毎週末の練習へ本当に楽しそうに出かけていた。
当然、中学に入学してからも迷うことなく野球部に入り、同じように楽しそうに野球をしていた。中学野球部では授業前の朝練があったが、それがある時は起こすことなく早い時間から起きて出かけていた。ちなみに、朝練がないときは起こしても、なかなか起きてこなかった。
そんな息子が3年生になってキャプテンになった。私も嬉しく思って、それからの息子も見ていたが、キャプテンとしてメンバーをまとめ、チームを強くしていくことに、悩み、苦しむ姿が見られるようになった。これまでは楽しいだけの野球だったのが、初めて野球で苦しむことになったと思う。
しかし、引退試合では16名の3年生が本当に楽しそうに野球をしていて、ベンチの雰囲気も良く、ハッスルプレーも見られて嬉しくなった。良いチームじゃないか、と。
最後には3年生全員がひとり一人、野球部員や顧問の先生、そして、保護者が見守るなか、挨拶をしていく。みんな感謝の言葉を述べながら、素晴らしい挨拶をしていく。また、そのときにキャプテンに向けた感謝の言葉もあり、親としては嬉しく涙が出そうになった。
なかには、「僕たちのキャプテンは一番小さなキャプテンだったけど、一番背中が大きいキャプテンでした!」と言ってくれた子もいて、嬉しくて涙が出そうになった。息子が戦っていた姿が感じられて、その想いが仲間には伝わっていたことが感じられて。
そして、息子の挨拶。先生への感謝、後輩への想いを託しながら、キャプテンとして苦しんだことも話した。しかし、そのときに仲間に救われたことなどを話し、同じ3年生の仲間に感謝の言葉を伝えていた。そういう経験をしたからこそ、後輩たちには仲間を大事にして欲しい、チームとして一致団結することを大切にして欲しい、みんなが隣の人との絆を大事にすればそれができる、と大きな声で胸を張りながら堂々と語った。
こんな言葉を発する人間に成長をしていたことに、驚いた。
親は子供のことは何にも知らない。私は野球部で、野球を学んでいると思っていたが違った。野球で学んでいることがたくさんある。しかも、それは親が教えられるようなことではない。
子供のことを見て教えてくれる先生や師匠がいて、そして仲間がいる。そういう人たちから、あるいは一緒に、体験をしながら学んでいる。親はそのような体験を一緒にはできない。だから、教えられない。
子供は親が知らないところで育つ。
そして、子供は好きなことだから、頑張れる。好きなことであれば、先生や師匠、そして、仲間にも恵まれる。好きなことから学べることは多い。
親は、子供の成長から学ぶことが多い。

