目に見える成長と目に見えない成長。(チェック済)

売上や利益などが伸びる。これは会社の成長で目に見える成長。
身長が伸び、体重が増える。これは子供の成長で目に見える成長。
ただ、成長は目に見える成長だけが、成長ではない。売上や利益にはまだ表れないが、会社が成長していることはある。そして、長く成長を続けるには、本当に大事なのは目には見えない成長なのかもしれない。
ひとりの野球少年がいる。彼は、物心がついたころから野球が大好き。小学校に入学するとすぐに地元の少年野球チームに入った。
朝、学校の日は起きるのがギリギリだが、週末の野球の日になると起こされることなく、自分で早くに起きてくる。野球が好きでたまらない。
小学校の卒業式の日、卒業生全員がひとりづつ将来の夢を大きな声で言った。その少年は、「アメリカのメジャーリーグで大記録を打ち立てるような選手になりたい!」と大声でハッキリと言った。
それを聞いた親は大きな夢に唖然とした。もちろん、嬉しくもあった。
そして、少年は当たり前のように中学校の野球部に入部した。一年生のときは自ら進んで一年の代表に立候補した。プレーでも二年生に交じってレギュラーに選ばれた。一年生でレギュラーに選ばれたのは、少年だけだった。
順調な野球生活を思いっきりエンジョイしていた。
そして、二年生となり三年生が引退をしてからは、キャプテンとなった。彼は野球となると積極的になる。他のことでは見せない挑戦をする。
ところが、キャプテンとなってからこれまで経験したことがない苦しさを味わっている。彼は、体が大きい方ではない。もうすぐ三年生となるが、未だに声変わりをしていない。成長期は遅いのだと思う。
そのため同じ野球部の同年代の仲間と比べると体は小さい方だ。小学生のころは走ってもボールを投げても他の子よりもできる方だったが、今は違う。
他の子の方が投げるボールは早く、足も速い。バッテイングでも早くて遠くまでボールが飛ぶ。体格差がでている。試合でも先発に選ばれなくなってきた。控えとなり、試合に一度も出場しないこともある。これまで経験したことがないことだ。
やはり少年は上手くなって試合にでたい。自分が上手くなりたい。しかし、一方で彼はキャプテンだ。チームを強くするためにチームをまとめ、チームのことを考えなければいけない。
そのことで監督にも頻繁に怒られているみたいだ。
野球の練習や試合から帰ってきた時、玄関でうなだれていることもある。泣いていることもあった。これまでにはなかった彼の姿。苦しんでいる。
そのことは野球部の監督も分かってくれている。むしろ、あえてそのような経験をさせているようだ。それは、彼の心の成長を願ってのことである。監督、先生は信頼できる人なので、親は任せている。むしろ、そのように接してくれていることに感謝している。
監督は言う。
「彼は、まだ体の成長がきていない。しかし、必ず彼は大きくなる。そして、野球が好きなのは分かっているので、高校でも野球を続けるはずだ。体を大きくして、技術を覚えるのは、高校になってからでもできる。それよりも今の彼に必要なのは、心の成長だ。たとえ、打てなくても、守備も上手くできなくても、試合にでることを周りの選手には認めてもらえる選手になって欲しい。そのためには、心の成長が必要だ。今はツラいと思う。心の成長のためにきつくしているので。でも、変わってきている。あともう少しのところまできている。なので、もう少し見守って欲しい。」
ここまで言ってもらえれば、親としては信頼するしかない。
今は体の成長よりも、心の成長をするとき。そして、今だからこそできる心の成長がある。
そんな監督と大好きな仲間がいる野球部の朝練へ、今朝も早くから教科書と野球道具でいくつもの大きなカバンを持って、「行ってきます!」と出かけた。
中学生になった頃はぶかぶかに大きかった制服も体にあってきた。また、大きなカバンをいくつも持っていても、安心して見られるようになってきた。
体も成長している。
しかし、今は心の成長が大事なときだ。
がんばれ!野球大好き青年!

