来た道、行く道。

自宅の近所には大阪府下を見渡しても、一、二を競うのではと思う大きな公園がある。整備も行き届いていて、今は色とりどりのチューリップなどたくさんの美しくかわいい花が咲いている。
ここには以前から散歩やランニング、子供が小さいときは家族でよく出かけた。
今、私は在宅ワークとなっているので、いつも以上にこの公園をよく散歩している。
そうすると多くの人に出会う。小さな子供つれのお父さん、お母さんからカップル、中高年夫婦、高齢夫婦や高齢単身の方々など、色んな方に出会う。
まだ、ヨチヨチ歩きの小さな子供を見ては、すでに大きくなった我が子が同じように小さかった頃のことを思い出す。また、中年夫婦を見ては、我々も同じように見えているのかなと思い、高齢者を見ては両親のことを思う。
小さい子供は本当に可愛い。考えてみれば、我が子だけではなく、私も同じように小さかった頃があった。周囲を見渡せば小学生の男の子がお父さんと遊んでいる。私は父親と一緒に遊んだ記憶はあまりないが、よく友達と遊んでいたことを思い出す。友達と一緒に遊んでいる中学生もいる。そして、高校生や大学生になると男の子も女の子も同じグループになって楽しそうにしている。やはり私にも同じような頃があった。
公園へ行き、多くの人を見ていると、これまで私が小さかった子供の頃から成長するまでの来た道を自然と思い出している。
そして、ゆっくりとしか歩けない、足取りも危なっかしいお爺さんを見かけた。
本当にゆっくりとしか歩けないようだ。歩き方が危なっかしいので手を貸したくなるようなお爺さんだった。立ち止まっている時は背中が伸びるのだが、歩き始めると90度くらいまで腰を曲げ前かがみになる。そして、10歩ほど歩くと背中を伸ばして立ち止まる。そのまま歩き始めれば良いのにと思うが、やはり歩き始めると腰を曲げる。腰を伸ばして歩けないようだ。
このようにして歩くので、そのスピードはとてもゆっくり。10歩あるいて休むのでなかなか前に進めない。本当にゆっくりである。
そのお爺さんとは私たち夫婦が公園へ向かう入り口あたりで、すれ違った。それから私たちはおそらく30分ほどは公園で散歩や花を楽しんでいた。そして、私たちもゆっくりと帰っていた。
そうすると公園から歩いて10分もかからないところで、そのお爺さんに追いついた。あれから、ずっと歩いていたのかどうかは分からない。途中のベンチで休んでいたかもしれない。
ただ、私たちが歩けば10分もかからない距離を、40分以上かかっていたのは間違いない。確かに、それぐらいはかかると思われるほどゆっくりな歩くスピードなのだ。そして、やはりもさっき見たように10歩ほど腰を屈めて歩き、立ち止まって背中を伸ばして休む。そして、また腰を屈めて歩く。
私たちはそのお爺さんを追い抜いて、その先にあるスーパーで買い物をしていた。
そうすると、また、そのお爺さんと会った。そこで、初めて買い物のために歩いてきたことを知った。スーパーのなかでも同じように腰を屈めて歩き、休みながら買い物をしていた。
公園への行きかえりでこのお爺さんとは3度も会うことになった。
足どりがおぼつかない歩き方で危なっかしいために気になっていたのだが、考えてみれば私も年をとったときにこれぐらいの歩くスピードになるのかもしれない。
大変である。近所のスーパーへ歩いて行くだけでも2時間以上かかる。もし、その途中で雨にでも降られたらと思うと。しかし、これは誰もが向かう道である。
そう思うと、少し優しい気持ちになる。
人がたくさん集まる公園は、来た道と行く道が見える場所なのだ。


